いじわるな藍川くんの愛が足りない


はあ。そろそろ喉が渇いてきた。


最後はここ、視聴覚室だ。


「ビデオとか観るのは、基本的にここ。先生が来る前にカーテンを締めて、スライドとディスクの用意をしないといけない」


「へえ。前の学校ではなかった」


「...どうして転校してきたの?」


べつにこれくらい聞いたっていいだろう。


わたしだってどうしても知りたいわけじゃない。


ただたんに多少気になる。これくらい気にしてしまうのは仕方ないと思う。


「べつにあんたに関係なくない?」


「...」


聞くんじゃなかった。


もう、これからこの人に必要なこと以外は話しかけないようにしよう。


わたしはそう心に誓った。


だけど、最後にこれだけ言ってやる。


「...教室での態度と違いすぎ」


わたしの言葉に、彼は含みある笑いかたをした。

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