俺様王子とふたりきりの教室~甘くてキケンな1ヶ月♡
「それはよかったね」
「あ、ありがとう...!
も、望月くんも...補習、なの?」
どうしても知りたくて聞いてしまった。
よかった、わたし、ちゃんとしゃべれてる。
「実は僕、9月から1ヶ月カナダに留学するんだ」
奏でられた言葉は、わたしの世界とはかけ離れていて、理解するのに時間がかかった。
「り、留学...?」
「うん。ほんとはこの夏休みにする予定だったんだけど、ホームステイ先の都合で1ヶ月遅れることになったんだ」
彼はスラスラと分かりやすく答えてくれる。
その声は心地よくわたしの耳まで届く。
なんて心安らぐ声色、口調なんだろう。
耳だけでなくて、全身に降り注いでくるみたい。
それくらい、わたしにとって彼は憧れの王子様のような存在なのだーー。