冷たい指切り ~窓越しの思い~
「和くん、笑って笑って!!」
何が楽しいのか、同じくチャイナドレスに身を包んだ樹が
多くの観客に手を振って笑顔を振り撒いている。
アイツの頭の中を、見てみたいもんだ。
「和くん、あそこあそこ。
本部横のテントにちぃちゃんがいるよ。
ちぃちゃ~ん!!」
おいおい!!
教師が個人を呼んだら問題だぞ!
保護者に囲まれたこのグランドで、伊藤さんを堂々と呼べる樹が
なんだか羨ましかった。
さっきの写メ………送ってもらったら…………ダメだよなぁ。
危ない危ない!
樹の影響で危うく職を無くすところだった。
愛想笑いに顔の筋肉が、強ばり始めた頃………
やっと退場が許された。
あぁ~疲れたぁ~
控え室となった家庭科準備室に入ると
先に帰っていた樹が、2ーAの望月遥さんにメイクを落としてもらっていた。
「お疲れ!」
「先生、お疲れさま。」
望月さんと樹の声に続いて出てきたのは、伊藤さん。
「先生、お疲れさまです。
冷たい物は、メイクを落としてから持って来ますね。」
気遣い上手な彼女に、数分前までの疲れを癒される。
「先生、メイクを落とすからまた目を瞑って下さいね。」
女の子って……本当に大変だよな。
朝からメイクという美術をして
夜はあんなに頑張ったメイクを、キレイに落としてからじゃないと寝れないって……
男で良かったって思うよ。
俺があれこれと思いを馳せてる間に
メイクは取り終わり、いつもの顔に戻る。
「ご苦労様でした。
後は洗顔してきて下さいね。」
タオルを首にかけて廊下に出ると、樹に呼び止められた。
「和くん、ちぃちゃん……変わったね。
良い顔、するようになったよ。」
樹に言われて振り向くと、キョトンとこちらを見ていた。
確かに!
年相応の表情をしている。
誰かに話すことで、少しでも楽になってくれたら嬉しいな。
何が楽しいのか、同じくチャイナドレスに身を包んだ樹が
多くの観客に手を振って笑顔を振り撒いている。
アイツの頭の中を、見てみたいもんだ。
「和くん、あそこあそこ。
本部横のテントにちぃちゃんがいるよ。
ちぃちゃ~ん!!」
おいおい!!
教師が個人を呼んだら問題だぞ!
保護者に囲まれたこのグランドで、伊藤さんを堂々と呼べる樹が
なんだか羨ましかった。
さっきの写メ………送ってもらったら…………ダメだよなぁ。
危ない危ない!
樹の影響で危うく職を無くすところだった。
愛想笑いに顔の筋肉が、強ばり始めた頃………
やっと退場が許された。
あぁ~疲れたぁ~
控え室となった家庭科準備室に入ると
先に帰っていた樹が、2ーAの望月遥さんにメイクを落としてもらっていた。
「お疲れ!」
「先生、お疲れさま。」
望月さんと樹の声に続いて出てきたのは、伊藤さん。
「先生、お疲れさまです。
冷たい物は、メイクを落としてから持って来ますね。」
気遣い上手な彼女に、数分前までの疲れを癒される。
「先生、メイクを落とすからまた目を瞑って下さいね。」
女の子って……本当に大変だよな。
朝からメイクという美術をして
夜はあんなに頑張ったメイクを、キレイに落としてからじゃないと寝れないって……
男で良かったって思うよ。
俺があれこれと思いを馳せてる間に
メイクは取り終わり、いつもの顔に戻る。
「ご苦労様でした。
後は洗顔してきて下さいね。」
タオルを首にかけて廊下に出ると、樹に呼び止められた。
「和くん、ちぃちゃん……変わったね。
良い顔、するようになったよ。」
樹に言われて振り向くと、キョトンとこちらを見ていた。
確かに!
年相応の表情をしている。
誰かに話すことで、少しでも楽になってくれたら嬉しいな。