冷たい指切り  ~窓越しの思い~
あれから俺は………彼女と関わることを止めた。

時々視線を感じるが……………

見ないようにしている。

「阿部 都」

「安藤 加奈」

「伊藤 千尋……伊藤。伊藤さんはお休みですか?」

今日で、1週間になる。

彼女に最後に電話をしてから2週間。

始めの1週間………見ないようにしていたら……学校に来なくなった。

気になるが………連絡をとってしまうと…………

今まで連絡しなかった事が無駄になってしまう。

彼女とは、関わってはいけない。




「和君、飲みに行こう。」

ドアをノックせず、入って来る樹を睨み………

文句の1つでも言ってやろうと顔を上げた先にいたのは……………

1週間見ていない………伊藤さんの姿だった。

「樹………お前。
………………………………伊藤さん。」

自宅玄関で動けない俺を素通りして、伊藤さんを引っ張って

奥に進む樹。

「えっと……あの!樹先生。あっ………」

靴すらまともに脱がしてもらえない勢いに、戸惑いながらついて行く彼女。

「おい!樹!!」

俺がいくら怖い声を出しても気にすることなく、リビングに向かう。

「ちょっと、ホントに待て!!」

部屋に干した下着に慌ててリビングに追いかける。

「和君のパンツ、可愛い!!」

チェックのトランクスを見て笑う樹。

くそっ!!後でシバク!

見ないように横を向く伊藤さんから下着を遠ざけ

「何しに来た!」とドスの響く声を出す。
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