冷たい指切り  ~窓越しの思い~
10月最後の週を迎え、学生達は2日間行われる文化祭に大騒ぎだ。

「いらっしゃいませ!」

「お抹茶のお客様は、こちらの茶室に………」

初日の午前中は地域の役職の方が来られていて、年配のお客様が多いせいか

和風喫茶は繁盛している。

その為、午前中はクラス委員として……赤いかすりの着物を来て走り回り

午後は放送部のアナウンサーとして……

BGMを流し、迷子やお店のアピールのアナウンスをするようだ。

特に大変なのが、明日行われる

ミス桜倫を決める舞台の司会を任されていることだ。

明日の午後から行われるのだが、お嬢様学校ということで………

他校の男子が、毎年多く来るのだ。

やけになって、頑張るにしても…………

頑張りすぎてお昼をとる暇も無さそうだ。

午前中のクラスの仕切りは無事に済んだらしく

放送室に向かう彼女の後ろ姿が見えた。

……………………ちょっと、痩せたよな。

あれ以来ほぼ目が合うことはなく、こちらを見ていないんだと……実感する。

自分で背けておいて…………ワガママだと言われれば………そうなんだが………

一抹の寂しさを覚える。

校庭の屋台に足を伸ばし………たこ焼きとクレープを買い………

来た道を戻った。

途中の自販機でカルピスを買うと……………

放送室のドアにかけ…………準備室に向かった。

気にしない……………は、難しいよな。

自分の矛盾する行動に………自分が一番困り果てる。
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