愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
その仕草はとても自然で、ふたりの関係が親密なものであることを推測してしまう。


もしかして……。


私と同じ想像を、他の社員もしていた。

通路を挟んだ後ろの席の男性社員ふたりが、あの女性は社長の恋人ではないかとヒソヒソと話している。


「遠距離恋愛の彼女が、社長に会いたくなって急に来日したという感じか?」

「社長がこっちに来る前からの関係なら、長い付き合いだな。美男美女でお似合いだ」


私の鼓動が不安に高鳴る。

その会話を聞きたくなくて、思わず耳を塞いでしまったが、心には“社長の恋人”という言葉がくっきりと刻み込まれてしまった。

まだそうと決まったわけではないのに、桐島さんに恋人がいるかもしれないと思えば、締め付けられるような胸の痛みを感じる。


こんなにもショックを受けている理由は、一体なんだろう。

いつか桐島さんは紫陽花荘を手放して、彼女の待つベルギーに帰ってしまうのではないかと不安に思うからなのか……。


けれども、それが主な原因ではない気がして、瞼を閉じた私は自分の心の中に目を凝らす。

見えたのは、私が桐島さんに対して抱いているこの想いが、『恋なの?』という疑問であった。
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