愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
紫陽花荘は床板も壁も薄くて、振動や音が他の部屋に漏れてしまう。

寝ようとした時に、二階からふたりの愛し合う物音や声が聞こえてきたら……私の方から逃げ出すに違いないからだ。


それで紫陽花荘を離れて夜道を歩きながら、今日はどこに泊まろうかと考える。


もう半年ほど会っていないけれど、私にも高校時代からの付き合いの、親しい友達がいる。

その子のところに連絡してみようと思ったが、実家暮らしだし、こんな夜になってから突然泊めてほしいと言われても迷惑に違いないと諦めた。


ホテルは高いから……そうだ、ネットカフェにしよう。


入ったことはないけれど、横になって体を休める個室があり、飲食もできると聞いたことがある。

明日は土曜なので、熟睡できなくても仕事に支障はないだろう。それで充分だ。


電車の駅から数分の場所に立つ商業ビルの中のネットカフェを目指し、私は足早に歩く。

街灯の明かりが頼りの人気のない細い道路を進み、角を曲がって大通りに出れば、急に明るさが増す。
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