愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
交際ということは、私が桐島さんの恋人になるということで……私は今、告白されたんだ……。


今度は彼の言葉を理解することができた。

喜ぶよりも先に気が抜けて、ヘナヘナとその場に座り込んでしまう。

「有紀ちゃん!?」と慌てたように桐島さんも片膝を床につき、私の肩を掴んで顔を覗き込むと、「具合が悪い? 酔いが回ってきた?」と心配してくれた。


ワンコインバーではアルコールが体に染み込んだような感覚があったけれど、今は酔っていられる状況ではない。

首を横に振って彼の問いかけを否定した私は、この気持ちを伝えなければと、彼の目を見つめて口を開いた。


「ずっと好きにならないようにって、我慢していたんです。桐島さんを困らせたくなくて。もう我慢しなくていいんですか……?」


ホッとしたようにため息をついた彼が、嬉しそうに瞳を細める。

「もちろん」と頷いて、「今から私たちは恋人です」と嬉しい言葉をくれた。

やっと喜ぶことのできた私の目には、止まっていたはずの涙が再び溢れる。

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