愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
彼はハンガーラックの前に立ち、一着のワンピースを選んで手に取ると、私のところへ戻ってくる。

優しい笑みを浮かべ、それを私に手渡して言った。


「有紀子にはこれが似合いそうだ。タイトな黒い服より、俺はこれを着てほしい」


そのワンピースはハイウエストのノースリーブで、膝下丈のスカート生地がふんわりと軽やかに広がっている。

淡い水色の生地には、水彩画のようなタッチの紫陽花が控えめにプリントされていて、着物の柄のような味わいもある。


「あ、素敵……」


ひと目で気に入った私に、「着てごらん」と彼は瞳を細める。

頷いた私は再度試着室に入り、似合わない黒いワンピースを脱いで、それに着替える。

鏡に映る自分を見れば、落ち込みから一転して、パッと花が咲くような喜びが広がった。

生地の柄もデザインも、自分に合っている気がして、しっくりと馴染む。

期待していた大人びた印象にはならないが、無理して似合わない服を着るよりは、可愛く見えそうだ。

なにより、桐島さんが選んでくれた服だから、私はこれがすごく欲しい……。


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