愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
試着室を出れば、店員が「よくお似合いです」と褒めてくれた。

それはお世辞ではなさそうで、ホッとしているような目元を見ると、私の服選びにプレッシャーを感じていたようである。

大人っぽい印象にと、無理な注文をつけてしまい、申し訳ない。

桐島さんは「とても素敵だ」と満足そうな笑みを浮かべていて、私は照れくささに顔を火照らせながらも、温かな喜びに浸っていた。


それから十数分後、そのワンピースを着たまま店を出て、桐島さんと並んで紫陽花荘に向かう。

街にはすっかり夜の帳が下りて、ネオン輝く繁華街に浮かぶ月は霞んで見えた。

買ってもらったのはこの服だけでない。

これに合わせたローヒールの可愛らしいデザインのパンプスとハンドバッグも。

その値段に気後れしている私に彼は片目を瞑り、「恋人が美しくなることに金を惜しまないよ」とセレブなことを言う。


桐島さんが裕福であることは、紫陽花荘を小切手でポンと買ってしまった時からわかっているけれど、贅沢を好む人ではないことも知っている。

彼の部屋の私物は、必要最低限のものしか置かれていないからだ。

< 163 / 258 >

この作品をシェア

pagetop