愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
五割り増しで鼓動が速度を上げる中、亜美ちゃんが首を傾げて私に指摘を入れる。


「有紀、なんで隠れてるの? もしかして、社長直々に怒られたことがあるの?」


そうじゃないと答えられない私は、『今は私の名前を呼ばないで!』と心の中で叫んで、固く目を閉じる。

見つかる不安に冷や汗をかいていたら、亜美ちゃんが「え……!?」と驚いたような声を出した。

その直後に肩をポンと叩かれて、私は体をビクつかせる。

恐る恐るメニュー表を外すと、私の横に立っているのは桐島さんだった。


「有紀子、ただいま」

「お、お帰りなさい……」

「俺を驚かそうとして隠れていたのだとしたら、残念ながら失敗だよ。頭隠して尻隠さずとは、まさにこのことだ」


灰青色の瞳が三日月型に細められ、彼は私に親しげに話しかける。

どうしよう、ばれてしまう……。


桐島さんがいつものように自然な行為として、私の頭を撫でてくれる。

それを店員たちが驚いた顔で注目していた。

斜め横のテーブルで接客中の店員には、私と彼の親しげな会話を聞かれてしまったことだろう。


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