愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
頷いて、桐島さんの右手の動きを封じていた手を外すと、三つ目までボタンの外されたパジャマの胸元から彼の右手が滑り込み、下着越しに私の胸に触れた。

「あっ……」と漏れた自分の甘い声が恥ずかしさを煽り、鼓動は際限なく速度を上げていく。

大きな手で包むように揉みしだかれ、「柔らかい……」という嬉しそうな声を耳元に聞いた私は、「ま、待ってください!」とまたしても彼を止めてしまった。

それは怖気付いたからではなく、あることに気づいたためだ。


「あの、ここだと、おばあちゃんの仏壇が……」


紫陽花の花を供えた仏壇と、壁の高い位置に並んでかけている父と祖母の遺影がガラスに映っていた。

それを桐島さんに伝えると、「確かに見られている気がするな……。俺の部屋にいこう」と苦笑いしている。

「キャッ」と声をあげたのは、急に横抱きに抱え上げられたからだ。

慌てて彼の首に両腕を回してしがみついたら、至近距離で視線が合ってしまい、私の顔はさらに熱くなった。

フッと微笑んだ彼が、さらに顔を近づける。

「愛してる」と言って私の額に唇を落とし、ドアへと歩き出した。

その言葉に幸せとときめき、初体験への緊張を同時に味わいながら、頼もしい腕に揺られて居間を出る。

その際に祖母の遺影に視線を向けてしまった私であったが……いつものように視線が合ったと感じることはなかった。

祖母の口元は嬉しそうに微笑んでいても、今宵だけは、こっちを見ないようにしてくれているみたい……。

『おばあちゃん、私、桐島さんに大人にしてもらいます』と心の中で話しかけ、愛しい彼の首に回している腕にそっと力を込めた。





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