愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
求人情報の用紙と桐島さんの端正な顔に、視線を二往復させて困っていると、彼が私の強みを教えてくれた。


「有紀ちゃんには、素晴らしい水彩画の才能があるじゃないですか。求人情報をよく読んで。パッケージングやデザインに関する業務で、一名募集している。面接には、書き溜めたスケッチブックを持っていくといい」


灰青色の瞳が優しく細められ、心配いらないというように、彼は深く頷いた。

すると不思議なことに、弱気だった私の心に勇気と自信が湧いてきて、「受けてみます」と答えていた。


特別上手でもない私の水彩画が、モルディの役に立つのかはわからないけど、少しの可能性にかけてチャレンジしてみよう。

モルディチョコレートのパッケージのデザインを描いている自分の姿を思い浮かべると、夢が膨らむようなワクワクした気持ちになる。


おでんの優しい出汁の香りが、まだ消えずに部屋の中に漂っている。

「桐島さん、ありがとうございます!」と満面の笑みでお礼を言えば、彼も嬉しそうに笑ってくれた。


< 59 / 258 >

この作品をシェア

pagetop