愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
黒ずんだ縦板張りの壁も、ガタガタと音を立てて開けにくい玄関の引き戸も、ところどころが欠けている瓦屋根も、なにもかもが古めかしい。

玄関ドアの横に掲げている木目の表札は、A4紙を縦に三枚繋げたほどの大きさの【紫陽花荘】と、普通サイズの【小川】と書かれたもののふたつがある。

どちらも長年風雨にさらされてきたため、墨字が滲んだように、文字が読みにくかった。


外壁を張り替えて、表札を新しくすれば、少しは綺麗に見えるかな……。


そう思ったけれど、金銭的な余裕がないため諦める。

電車の駅は、この通りの二本向こうの大通り沿いにあり、徒歩五分ほどで、夜になれば駅周辺はネオン輝く繁華街である。

こんなぼろ家でも、納める税金が高すぎて、紫陽花荘の財政状況は常にギリギリの状態であった。


武ちゃんの学費や寮代を払わないといけないし、あと五年は修理できないよね……。


それまで、これ以上壊れずにもってほしいと願いながら、私は玄関周囲の掃除を始めた。
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