つなげば星座になるように
「このミニコンは皆様のご協力なしには開催成し得なかったものだ。諸先生方、学校関係者の方々に、まずお礼を言いたい。そして合唱部、吹奏楽部、協力いただいた友人各位、ありがとう」


すごい…、ささみん先輩が謝意を述べている!

かなり上から目線だけど…


「さあ、終演だ。モーツアルトのきらきら星を、日本語、英語、フランス語、中国語、ベトナム、韓国、ポルトガル……あとはなんだったかな?…まあ、いいか。いろんな言語で聴いていただきたい」


観客の周りを取り囲むように配置されていた、パートグループから、


「インドネシア語!」

「タイ語も!」

「スペイン!」

と、アピールの声が上がる。


それぞれの言語で歌うために、各専攻の人にも協力してもらっている。

これだけの人を動かせるって、ささみん先輩って、ホント何者なんだろう。

先輩は、わかったわかったと、手を振りながら話を進める。


「言語は違えど、同じメッセージ、同じメロディーだ」

「これだけの人数で同時に歌えば、確実に、何を言っているのかわからん。

耳慣れた母国語を聞き出すことも難しいだろうな」


誰も言葉を発しない。


「でも、だからこそ耳を傾けて欲しい。

人が考えることに、言語は違えど理解できないことはない」


この発言に、感動したのは、私だけじゃない。

教授の一人が感涙にむせびながら、ささみん先輩に親指を立てて、good job!ってしてる。

きっと、ささみん先輩にいろいろ無理をお願いされたんだろうな。

なんだか、苦労が忍ばれる。



王子のピアノが空気を揺らす。

言葉が広がる。
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