独占欲高めな社長に捕獲されました

 昴さんに営業スマイルで褒めまくられて、お父さんは喜んで絵を見せたんだろう。その気持ちはわかる。

「間違いない。この絵は横川雄一郎の作品の中で最もこの場に相応しい作品だ。俺はこういうものを求めていた。お前もきっとそう思うだろうと、半ば確信していた」

 自信満々の笑顔。最初は悪役にしか見えなかった笑い方も、どうしてか今は魅力的に見える。

「お前は俺が認める絵を探し当てた。約束は守ろう」

「探し当てたっていうか……だいぶオマケしてもらっている気がするんですけど」

「いいんだよ。お前と出会っていなければ、この絵はここになかった」

 壁にかかった絵を満足そうに見つめる昴さん。彼が仕事のことで妥協するはずはない。本当にお父さんの絵を気に入ってくれているのはたしからしい。

 でも、いつまで続けられるかわからないギャラリーを残し、借金をチャラにしてもらって……本当にそれでいいんだろうか。よく考えれば、かなり厚かましくない?

 悩む私の顔をのぞきこみ、大きな手が頭をなでた。

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