独占欲高めな社長に捕獲されました
自分自身が主役になって輝ける日が来るなんて、少し前の私は思ってもみなかった。
残された絵画を愛し、それを保存していくだけで、自分までただそこにあるだけの無価値な骨董品になるんだろうと、漠然と思っていた。
だけど、彼に会えた。
昴さんのおかげで、私は私の人生を歩んでいける。彼と共に。
「もう、『社長の頭の中は仕事ばかり』だなんて言わせない。言えないくらい愛してやる」
いたずらっ子のような顔で笑う彼は、出会ったばかりの頃のセリフを引用してきた。
過去に誰かに同じことを言われたことがあるのかな。あの日も固まっていたものね。ちょっとショックだったみたい。
いくら悪役だって、彼も人間。仕事のことだけ考えて生きられるわけはない。
だからこれからは、一緒に綺麗なものをたくさん見て、感じて、生きていこう。もう、寂しくなんてない。
私はまぶたを閉じ、彼の熱に身を任せた。このまま全身溶かされて絵の具になってしまえばいい。
彼の手は、素敵な絵を描いてくれるはずだ。私たちの、温かく柔らかな光に溢れた未来の景色を。
【完】


