独占欲高めな社長に捕獲されました
離別以来、一度も便りをよこさなかったし、会いに来もしなかった。幼い頃は薄情に思えたけど、今ならわかる。彼女は彼女なりに、新しい家庭を守るのに必死だったのだろう。
「幸せそうでよかったです」
「結婚すると報告しなくていいのか?」
私は彼の腕の中で首を横に振った。言葉はいらなかった。
結婚式は半年後、フランスの古城を改装したホテルで行う予定。広大な敷地の中に森やブドウ畑がある、童話の世界そのもののような白いお城。内装も建てられた当時のものを活かしているらしく、今から楽しみで仕方ない。
「古城と美術館めぐりの予定より先に、ドレスを決めなきゃな」
「背景が美しければ、私なんてどうだっていいですよ」
「そういうわけにはいかない。主役が輝いていなければ、いくら背景がうまく描けていたって名画にはならない」
昴さんの指が私の頬にかかっていた髪を避け、おでこや頬に口づける。
「俺がお前を輝かせる」
そう言った彼の手に熱が宿る。既にとろとろに甘やかされたばかりだというのに、求められれば条件反射のように私の体も熱くなる。