残念系お嬢様の日常
『ずっと好きで、振り向いてもらえなくても傍にいられたらって思っていたけど。そんなの相手にとっては迷惑だったんだと思う』
瞳のひたむきな想いを受け取らなかったハルトさんは、本当に迷惑だと思っていたのだろうか。
「俺の場合は自業自得だよ。自分が選んだ道なんだ。スイーツを作るのが好きで、水谷川の家のことは兄たちに任せている。俺は水谷川の血を引いていても、ここを出て行けば一般人と同じだよ」
「……そういうこと、ですか」
ハルトさんがどうして瞳の想いに応えないのか。
本当はどう思っているのか。
彼の言葉と表情で伝わってくる。
それは単純だけれど、単純ではない彼なりの事情。
「後先考えずに感情だけで突っ走るのは子どもの恋愛だけだよ」
「ハルトさんは大人のふりした子どもですね」
「手厳しいね」
ハルトさんは肩を揺らして困ったように笑う。
ドラマや漫画みたいに、夢を追うからついてきてなんて言うことは簡単ではない。
相手の人生を巻き込むものだ。
大事なら尚更、巻き込むことを躊躇してしまう。