3年経ってしまった、消せない話
少年は少女の誕生日の事を思い出していた。そしてようやく思い出した。

確かに少年は3つ願いを叶えると言っていた。理由は金欠だったから。

その為、誤魔化すかのように妹である少女にそう告げていたのであった。

少年は自分の言った事の重大さにようやく気付き、溜息をついた。


「それ、太陽って言うより花だよな?」

「…うん。でも夏しか見れないお日様だって」

「そうか…」


しばらくして、少年は少女の手を握り家を飛び出した。

少女は突然の出来事の少々戸惑いを見せていた。


「すみません。これって何処で見れますか?」


少年は近くにいたおばさんに声をかけ、

少女の絵本に描かれた“夏だけしか見れない太陽”を見せた。

おばさんは何も言わずに首を横に振るだけであった。

まだ1人目だしな、と少年は気楽な気持ちで捜索を始めた。

少女もようやく少年が何をしているのかに気付き、胸を弾ませていた。

しかし物事はそう簡単には上手く行かなかった。
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