雨が降る 黄昏時と夜のこと
同じ路線の同じ方向の電車に乗り込む。そうして、小沼くんはここから十五分後の停車駅で降り、独り暮らしのアパートに帰る。私はそこから更に三十分揺られ、実家最寄りの駅まで。
「小沼くん……」
「痴漢避けだよ」
乗車率の高い電車内は息苦しくて蒸し暑い。けど出入口付近に収まった私は、背中に当たるガラスの冷たさに少し救われる。正面には小沼くんがいて、隔てる距離は胸に抱いた鞄のぶんだけ。
私が押し潰されないようにガードしてくれる小沼くんは大丈夫だろうかと思わず見上げてしまい、その距離の近さと端正な顔立ちにビビり、大急ぎで身体の向きを変えた。背中にあったガラスのほうを正面にする。
外はまだ雨が降り続き、車内のガラスは曇っている。手のひら全部で拭ってみれば、透明になったそこには、小沼くんの顔が映った。小沼くんの表情がまだ晴れていないことに、罪悪感でいっぱいだ。
「小沼くん……」
「痴漢避けだよ」
乗車率の高い電車内は息苦しくて蒸し暑い。けど出入口付近に収まった私は、背中に当たるガラスの冷たさに少し救われる。正面には小沼くんがいて、隔てる距離は胸に抱いた鞄のぶんだけ。
私が押し潰されないようにガードしてくれる小沼くんは大丈夫だろうかと思わず見上げてしまい、その距離の近さと端正な顔立ちにビビり、大急ぎで身体の向きを変えた。背中にあったガラスのほうを正面にする。
外はまだ雨が降り続き、車内のガラスは曇っている。手のひら全部で拭ってみれば、透明になったそこには、小沼くんの顔が映った。小沼くんの表情がまだ晴れていないことに、罪悪感でいっぱいだ。