極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 食事を済ませ、ビルを出たのは22時前。
 ゆっくりと過ごしながら話すことができて、互いに一層興味を持った。


(もう1軒誘いたいけど、今日はちゃんと帰してあげるべきだろうな)
(もうちょっとだけ、永縞さんのこと知りたい。帰りたくないな……)

 東京駅を前に信号を待つふたりは、街並みに泳がせる視線に思いを忍ばせた。


「やっぱり夜遅くなると冷えるね」
「そうですね。さっきまで暖かかったから、余計に」

 ふと目を合わせて言葉を交わすと、環が自然に手を繋いできた。
 ドキッとして手を離そうとしたけれど、しっかりと握っている彼の力には敵わない。


「離さないよ。万佑ちゃんのこと」

(それは、いったいどういう意味なの……)

 真剣な眼差しで見下ろされ、高層ビルのネオンを背負った彼と見つめ合う。
 青信号に変わって横断歩道を渡る間も、駅まで向かう間も、手のひらから伝わる温もりが恥ずかしくも嬉しかった。

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