極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「……永縞さんこそ、今日はちょっと違いますよね」
「そりゃそうだよ、万佑ちゃんと念願の初デートだもん」
「で、デート!?」
「そんなに驚かなくても」
(これってデートだったの?)
待ち合わせて早々に手を繋がれたり、甘い言葉で翻弄されたり、好みの男性のタイプを聞かれたり……。
どこまでがお試しで、どこからが本気なのか境界線が分からない。
そもそも、彼にとって私は飲み友達であって、本気になるようなことなんてないと思っていたのに。
「万佑ちゃんは、ずっと勘違いしてるんだね。俺なりに真正面から万佑ちゃんと向き合ってるつもりなんだけどな」
「勘違い!? えっと、その……」
またしても勘違いしているのかと慌てふためき、混乱しつつも必死に考える。
彼が本気になることはないとしても、これはデートで、だけど私たちは飲み友達で……。
「そんなに難しく考えないでいいよ。ほら、どんどん食べて。もっといろいろ話そう」
動揺している万佑を前に、環は楽しそうに微笑むだけだった。