極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
異動となれば、ミミの店に立ち寄る機会も減りそうな気がする。
あれこれと考えているうちに、環の意見を聞いてみたくなって、自席に戻るなりスマートフォンを手にした。
失恋してからというもの、環以外の男性と親しくしていない万佑にとって、彼は他のどの男性よりも近しく、必要な存在になりつつあった。
それは、友達というには少し艶があって、好きな人とは言い切れない、曖昧な……。
【永縞さん、お疲れ様です。近々で会える時間はありますか?】
年が明けて、間もなく1ヶ月が終わる。
来期から異動するなら、引継ぎも考えておかなくてはいけない。環と会う時間が取れたらいいと思いつつ、万佑は仕事にとりかかった。
「万佑先輩、今日これから客先に寄って直帰します」
「お願いします。気を付けて行ってきてね。お疲れ様」
夕方になり、外出する後輩に話しかけられ、ついでにスマートフォンを確認する。
(あ……永縞さんから返事が来てる)
彼も多忙だから、早くても夜になると思っていたのに、送信して10分ほどで返事が送られてきていた。