極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「永縞さんが、帰りがけに言ったことですっ!」
「あぁ、それか」
すっかり忘れていたような様子の環に、拍子抜けする。
万佑は彼の横顔を見つめることなく、環もミミが出してくれたビールを受け取り、ふたりは中ジョッキに手を掛けた。
(気にしてたのって、私だけなの……?)
素っ気ない反応に、心がチクッと痛む。
返事はできそうにもないけれど、あの夜の告白は素直に嬉しかったのだ。
それは、彼の印象が会うたびにプラスに転じ、仕事終わりに電話をしてくれたりと、温かな心遣いを知ったからでもある。
だけど、まさか本気じゃなかったのだとしたら……。
「今日は誘ってくれてありがとうね、万佑ちゃん」
「いえ、こちらこそ」
「乾杯」
軽くジョッキをぶつけて乾杯をしたふたりはビールを飲み、ようやく視線を交わす。