極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
(本当に、永縞さんは、私のことが……)
「楽しそうに仕事の話をしてる時も、ただ飲んでる時の横顔も、全部好きだよ」
環は想いを包み隠さず言葉にしただけなのに、向かいの店の軒下で揺れている赤提灯のように顔を染めた彼女が、たまらなく愛しいと思った。
「環くん、口説くためのデートなら、ここじゃなくて自分の家に連れ込むなり、ホテルのディナーにするなり、場所を選んだ方がいいんじゃないの?」
「ちっ、違うの。ミミちゃん、私がここに行こうって誘ったの。この前、永縞さんの仕事の話なんかも聞かせてもらって……ちょっと話したいことがあったから、落ち着いていつも通り話せる場所がよくて」
「環くん、万佑ちゃんはデートのつもりじゃなさそうよ? 残念ねぇ」
「そういうのはこれから。今は、好きな人がいてくれて、追いかける幸せを噛みしめる時期だよ。もっと万佑ちゃんのことを知ってからじゃないと、彼女にも失礼でしょ?」
出会ってからというもの、彼を意識せずにいられなくなったのに、これからだなんて言われたら、妙にハラハラする。
環が自分を知ろうとしてくれていると、分かりやすく言葉で示されたら、素直に嬉しいと思った。