極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「それで、話って?」
「……実は、異動の内示が出たんです」
うん、と短い相槌を打つ環は、万佑に穏やかな眼差しを向けた。
「詳しくは言えないんですけど、異動先でやっていけるかって考えたら、不安になっちゃって」
「そっか。次は違う仕事なの?」
「広報なんです。広報部も主に外部に対して自社の製品やサービスをアピールする役目なので、現職と似通ってるところもあるし、今度は代理店に意向を伝える側に回るんだと分かってはいるんですけど……永縞さんなら、こういう時どうやって前を向くのかなって」
うーん、と唸って考える環は、顎先を長い指で擦りながら視線を上に投げている。
そんなふとした仕草にも色気を感じて、万佑は目線を逸らした。
真剣に考えてくれているのに、ドキドキして答えを待つなんて失礼だと分かっていても、なかなか胸の奥は思い通りに動いてくれず、勝手にきゅんとして戻ってくれそうにない。