極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
その週末、土曜の夜に万佑は環の自宅を訪れた。
彼は休みだと思っていたのに、クライアントとの会食後に家で待つと言われ、初めてひとりで彼の住まいにやってきた。
瀟洒な佇まいのマンションの敷地に入り、車寄せを横目に歩く。途中で居住しているファミリーや、スーツケースを引いてどこかに出かける様子の女性とすれ違いながら、エントランスロビーに向かった。
「迎えに行けなくてごめんね」
到着時間をあらかじめ連絡しておいたので、万佑を見つけた環はロビーのソファから立ち上がって、彼女を出迎えた。スーツ姿でビジネスバッグを提げているのは、会食から帰ったまま待っていてくれたのだろう。
「気にしないでください。それよりもお休みは取れてるんですか? 週末まで仕事で埋まってるなんて……」
エレベーターホールへ足を向けつつ、彼の多忙さが心配になる。
出会った頃から忙しい人だったと記憶しているけれど、ここのところ海外出張もあったので気がかりなのだ。