極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「環さんが会社にいてくれると、デートしなくても会えるんだから」
彼がそばにいてくれて、社内恋愛の醍醐味はこういう幸せなのかと実感したのは認めるけれど、近くにいる間は気が気じゃなかったのだ。
「もしかして、社内恋愛に前向きになってくれた?」
ゆっくりと視線を合わせつつ、万佑はかぶりを振る。
「環さんの顔が見れる機会が増えたのは嬉しいけど、私たちのことをオープンにはできません」
「そっか。残念だなぁ」
「環さんだって、自分がどれほど注目を浴びてるか、この2日で分かったでしょ? それなのに交際を知られたら、私だって居場所を失うかもしれないんですよ?」
「そんなことを言ったら、俺だって万佑が社内でどれほど仕事を頑張っていて、輝いているかわいい女性なのかを目の当たりにしたよ。早く万佑が俺の大切な恋人だって言いたい」
社内恋愛に乗り気じゃない万佑の考えは分かるものの、平行線のまま。
環は再び天井を仰ぎ、どうにか落としどころがないかと思案する。