極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「浮気する男もいれば、浮気しない男も一定数いるよ」
「ですよね……。ごめんなさい」
万佑が謝ると、環は唇で弧を描き、微笑みと共に許した。この程度のことで虫の居所が悪くなるような男ではない。
「俺も男だから、浮気したくなる気持ちはわかるけどね。喧嘩しても話し合いにならないとか、他の男と比較されたとか、一緒にいても癒されないとか……。まぁ、だからって浮気していいってことはないんだよ。話を聞いた限りだと万佑ちゃんに非はないみたいだし、あまり思いつめないで。ね?」
環がそう言うと、万佑の瞳からひと粒の涙が頬を伝った。
あの女と比べて、なにが足りなくて、どこが劣っていて、大地の気持ちを独占できなかったのかと悩んでいたのだ。
比較する対象ができたせいで、結局は自分のせいなのではないかと思ったりして、裏切られたはずなのに責めていた。
だけど、環に自分の気持ちを代弁してもらえた気がして、ふっと心が軽くなった。