極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

 万佑たちが勤務しているのは、〝株式会社ブルーメゾン・アド〟という広告代理店。東京駅の丸の内側に建つ複合ビルの上層階にある。

 ふたりは入社7年目で、今は制作部でプランナーとして日々を送っている。
 プランナーの仕事は、広告の企画と提案を担当し、ディレクターやコピーライターなど他の社員と連携して、クライアントの要望に応えながら制作に携わるもの。
 例えばテレビCMでは決められた短い時間を有効に使い、クライアントの商品情報が魅力的に伝わる映像を作成する一端を担う業務だ。さらにどんな媒体でも正確性が求められるため、あらゆる角度から発想したアイディアとの相性を形にするセンスも問われる。


「万佑さん、お疲れ様です」
「あっ、お疲れ様。今戻り?」
「そうなんです。ちょっと難題を頼まれちゃいまして……相談に乗ってもらえませんか?」

 後輩社員に頼られるのも嬉しいこと。
 万佑は、セミロングの黒髪の片側を耳に掛け、後輩の話に聞き入った。

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