極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「奥の手を使ってみるか。申し訳ない気もするけれど」

 環はスマートフォンに登録している一覧から、ブルーメゾングループの社長をしている葛城の連絡先を選び、耳に当てた。


『――はい、葛城です』
「すみません、FNの永縞です。今大丈夫ですか?」
『もちろん。どうされました?』

 フランクな人柄の彼とは、仕事を通じて親交がある。
 ブルーメゾンの経営についてアドバイスをしたり、彼の結婚式にも招待してもらった仲だ。


「実はプライベートな話で申し訳ないのですが、東京駅前の葛城さんのビルの中にある、立花というお店はご存じですか?」
『よく知ってます。あの店の経営者とは仲よくさせてもらっていますから』
「今週末の夜、なんとかして予約を取りたいと思って……」
『あぁ、そうですよね。立花さんのところはいつも満席で、3ヶ月先まで予約が取りにくいと有名ですから』

 そんなに人気がある店だったのかと驚きつつ、秘書の宮前もさすがに行ったことはないのだろうと察した。

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