極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
約束の面会時間に合わせ、環は東京駅前のブルーメゾンビルディングへ。
冷え込みが厳しい1月中旬の夕方、館内の暖かさに着ていたコートを脱いで腕にかけ、エスカレーターに乗った。
少し早く到着したので、万佑を連れていく予定の店に立ち寄っておこうと思ったのだ。
三階の一角に、立花という和食店を見つけた。
支度中の札が下がっているので、夜の営業の準備をしているのだろう。他の店よりも区画が大きく、外観は木の温もりが感じられて雰囲気がいい。ここなら、万佑も気に入ってくれそうな気がした。
彼はそのまま上階へと向かい、葛城が待つ〝株式会社ブルーメゾン〟にやってきた。受付でアポイントの確認をすると、そのまま社長室フロアへ案内される。
「こんばんは。少し遅くなりましたが、明けましておめでとうございます」
受付から到着を知らされた葛城は、エレベーターの前で環を迎えた。
「こちらこそ、ご挨拶ができずに申し訳ありませんでした。今年度もどうぞよろしくお願いいたします」
多忙で都合が合わず、新年の挨拶を交わせていなかったが、やっと面会できてホッとした。