極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「夜は、立花さんのところでお食事しながら話しましょう」
「ありがとうございます。先ほど店先を通りかかったのですが、風情があってとても素敵でした」
「お食事も美味しいですから、楽しみにしていてください。……早速本題に移りましょう。今日お呼び立てしたのはほかでもないのですが」
「なんでしょう?」
彼のことだから、また新しい事業に乗り出すと言いだすのかもしれない。
環はバッグからペンと手帳と取り出し、膝の上で広げた。
「弊社が再来年からホールディングス化することは、もちろんご存じと思いますが」
「ええ」
(やっぱりホールディングスになってからの、コンサルの話だろうな。ブルーメゾンがクライアントにいる実績はこちらとしても継続していきたいし、それに体制が代わってからについては、また打ち合わせの時間を割く必要が出てくるだろう)
「それに伴い、弊社の専務取締役になっていただきたいのです」
「……えっ」
「御社でのご活躍は当然承知しております。今後も経営に参画されるでしょうし、多くのクライアントが永縞さんを信頼して話を持ち込むことでしょう。でも、私としては、その手腕を弊社で生かしていただきたいのです。どうか前向きにお考えください」