極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「万佑ちゃん、ごめん。待たせちゃったね」
少しすると、改札を抜けた環が彼女をすぐに見つけ、目の前に現れた。
スマートフォンとにらめっこしていた万佑は、顔を上げるなりハッとした表情で彼を見つめる。
(永縞さん、私服姿もカッコいい……)
万佑は昨夜から悩みに悩んで決めたコーディネートでよかったのかと、今一度つま先まで見下ろす。
出会った日も、再会した日も会社帰りでパンツスタイルだったので、今日は意識して甘めの服装にしてきた。
襟元のボリュームファーがフェミニンなライトグレーのコートが、吹き込んできた風でなびき、裾からのぞかせたダークグレーのプリーツスカートも一緒に揺れ、ブルーのパンプスが視界から隠れた。
(色味で甘さを減らしてきたつもりだけど、似合ってなかったらどうしよう)
腕に掛けたパープルのバッグにスマートフォンをしまい、環を見上げる。