極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
「もしかして、結構待ってた?」
「いえっ、全然大丈夫です。私もさっき着いたところで、永縞さんが車なのか電車なのか聞いておけばよかったなぁって」
「あ、そっか。そうだったね、言うの忘れてた。今日は電車で来ました」
にこっと微笑んで答える環を、行き交う女性たちが見つけるなり頬を染めていく。やっぱり彼は人目を引くタイプなのだ。
(スタイルがいいと、なにを着ても様になるのね)
環はグレーのチェスターコートに白いニットを合わせていて、黒のスリムなパンツが脚の長さを強調している。
首元にはワイン色の畦編みのスヌードを巻いていて、小さい顔が一層小さく見えた。
「万佑ちゃんの格好、すごくかわいいね。いつもとちょっと違うから、ドキッとしたよ」
「あ、ありがとうございます……。私も、永縞さんのスーツ姿しか見たことなかったので……」
「変かな? こういう服装、嫌い?」
「いえ、あの……すごく素敵です」
「ありがとう」
目尻に皺を寄せて微笑んだ環にドキッとさせられつつ、万佑は彼の背について歩き出した。