極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

(どれが勘違いなの?)

 彼女じゃないし、彼にその気があるとも思えない。ミミの店で言われたあれやこれやは、酔った勢いに違いないのだ。
 今日だってデートじゃないし、ミミの店で会うか他の場所で会うかの違いであって、飲み友達には変わりない。
 正直に言うと、少し楽しみにしていたけれど、それは失恋して以来、他の男性と出かけることがなかったからで……。


「マフラーも貸そうか? 万佑ちゃんの指先、なかなか温まらないね」
「だ、大丈夫ですっ! もう、着きますし」
「そう?」

 パッと手を離した万佑は、ちょうど青信号になった横断歩道を渡る。
 緊張で指先まで血液が巡らなくなっているなんて、とても言えなかった。

(万佑ちゃんって、男慣れしてない感じがするんだよなぁ)

 彼女を横目で見下ろしつつ、おそらく自分が言った意味は伝わっていないだろうと思った。

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