極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
店内に入ると、個室に通された。
グラスビールをふたつ注文し、予約していたコースが出てくるのを待つ。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは。立花さん、今日はありがとうございます」
「いえ、こちらこそ。……あっ、清家さんとご一緒だったんですね」
「立花さん、お邪魔しております」
挨拶に顔を出した立花は、万佑の顔を見るなり驚いた様子だ。
「実は、うちの店の広告は、清家さんがいらっしゃる企業様にお願いしているんです。それにしても、まさかおふたりがお知り合いだとは……世間は狭いものですね。今日はゆっくりしていってください」
コースのお品書きとグラスビールを一緒に持ってきた立花が出ていって、またふたりきりになった。
「万佑ちゃんがこのビルで働いてるのは知ってたけど、広告まで携わってたんだね」
「そうなんです。先輩社員から引き継いだ形なんですけど、基本的にこのビルに入っているテナントさんの宣伝は、うちで一括して請け負っているので……」
控えめながらも、きちんと仕事と向き合っている様子が伺えて、環は万佑のことがもっと知りたくなった。