極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「じゃあ、内面は? 優しい人とかリードしてくれる人がいいとか」
「優しい人がいいです。甘やかすだけの人は苦手ですが」
「なるほどね。じゃあ、サプライズは好き?」
「好きな方です。時間をかけていろいろ考えてくれたんだろうなって思うと、すごく嬉しいし」

 コース料理が順に届いて、テーブルの上がいっぱいになった。
 あん肝ぽん酢をつまみながら、ビールを飲む環は、美味しそうに食べる万佑を愛しさの満ちたまなざしで見つめる。


「永縞さん、この真鱈の西京焼き、すっごく美味しいですよ! この季節の看板料理なんです」
「万佑ちゃんは、客先の情報をきちんと知って仕事をしてるんだね」
「……あ、すみません。こんな時まで仕事を挟んでしまって」
「いいよ。この店を選んだのは俺だし、ここなら気兼ねなく来てくれると思ったまでで」

(永縞さんは、どんな人に恋をしてきたんだろう)

 万佑は、ただの飲み友達の自分に気を使って、こんな時間を用意してくれた彼のことがますます気になってきた。
 ただ、自分のような平凡な女性が選ばれるとは思えず、興味がある素振りすらできずにいる。

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