同期以上、彼氏未満
「なんやメグ、どしたん?」


「え、どうしたのって言われても・・・」


昴は長椅子に腰かけて、看護師さんに処置をしてもらっているところだった。


昴の右腕はYシャツがまくられていて、肘のあたりにガーゼがあてられていた。


「もしかして、詩織から聞いたんか?」


「うん」


「今日な、仕事で野沢課長と一緒やって。


で、駅で別れて階段下りとったら、誰かがぶつかってきて、転げ落ちたんや」


野沢課長は、詩織の彼だ。


「昴、大ケガしたんじゃないの?」


「してへんで。


骨折もないし、頭も平気やし。


野沢課長は、頭打ったかもしれへんから救急車呼ぼうって、連絡してくれたんやと思うわ」


「良かったぁ・・・」


私は、張りつめていた緊張の糸が一気にほどけ、へなへなと座りこんでしまった。


「メグ、大丈夫か?」


「こちらにおかけください」


看護師さんにうながされ、昴の隣に座った。


「ごめん、なんかホッとしたら、力抜けちゃって」


「そんなに心配してくれたん?」


「当たり前じゃん、すっごく心配したんだから」


昴をにらむと、思わず涙が流れた。


「浦野さん、処置終わりましたから、会計してお帰りいただいていいですよ。


心配してくれる優しい彼女がいて良かったわね、お大事に」


「ありがとうございました」


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