同期以上、彼氏未満
「ただいま、っと。


メグ、座って待っとって」


コートやスーツの上着を脱ぐ昴の仕草は、なぜか色っぽい。


「コート、クローゼットでいいの?」


「ああ、ありがとな。


なんかあれやな、新婚みたいやな」


昴の言葉で、思わず吹き出してしまった。


「俺は、いつでも結婚できるで」


「そんな軽く言わないでよ」


「そんなら、花束持ってひざまずくか」


「それはちょっとオーバーだなあ」


「サプライズでちゃんとするから、待っとってや」


「楽しみにしてる」


ベッドに並んで座り、私が覚悟を決めたとたん、


「メグ、須川さんとちゃんと話したんか?」


想像もしてない言葉に驚いた。


「え、荷物まとめた日から話してないけど。


連絡もしてないし、会社でたまたま会っても、私は挨拶するけど裕和はガン無視だし」


「一度、ふたりで話した方がええんちゃうか?


俺とつきあうことも、言うてないんやろ」


「うん、言ってない」


「言いづらいんやったら俺が言うてもええんやけど、それはちょっと違う気がするやんか」


「わかった、連絡してみる」


「それまで俺、我慢するわ」


「我慢?」


「わかってるやろ」


昴は、私の頬に軽くキスをした。


「キス以上は、せえへん」


「そっか、残念だな」


「ケジメやからな」


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