同期以上、彼氏未満
駅で反対方向の詩織と別れ、昴と電車に乗った。


「新潟出張、もうすぐやな」


「あー、まだ私なんも準備してない」


「土曜日、どこ行こか?」


「そうだな、あのお蕎麦屋さんは外せないよね」


「そやな、金曜の夜は飲みに行くやろ?」


「全員で何人だろう、予約した方がいいんじゃない?」


「もう予約しといたわ」


「そういうとこは素早いよね」


「幹事を仰せつかってるからな、すごいやろ」


「なんか、規模が大きくなってない?」


「ええやん、とにかく久しぶりなんやから」


「まあね」


最寄り駅に着き、断ったのに昴は家まで送ってくれた。


「嫁入り前の大事な時やろ」


「まだ、嫁にいくとは決まってないし」


「須川さんの何が不満なんや」


「不満なんてないよ、私にはもったいないくらいの人だもん」


「じゃあ、なんでオッケーしないんや?」


「結婚のこと真面目に考えたことなかったから、どうしていいかわかんないんだよ」


「なら、それをそのまま須川さんへ言うたらええで」


「えっ?」


「須川さん、今も不安でいっぱいのはずや。


少しは安心させてやれや」


「わかった、裕和に連絡する」


「じゃあな」


背の高い昴は、私の頭をポンポン、と軽くたたいた。


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