同期以上、彼氏未満
そのまま部屋へ向かい、すぐに裕和へ電話した。


『もしもし、恵?』


「うん、遅くにごめんね、寝てた?」


『いや、起きてた』


「あのね、えっと、プロポーズの返事なんだけど・・・私、結婚のこと真面目に考えたことなくて、もう少し待っててくれないかな」


『恵』


「ん?」


『俺、もうかなり待ってるけど?


遠距離だからいいけど、俺はこのところ悩みまくってた』


「ごめん」


『断られると覚悟してたから、そうじゃないならまだ希望はもてるな』


「前向きに考えます」


『あ、正式に辞令出たんだ。


10月から本社の商品管理部の課長』


「すごいね、おめでとう」


『夏休み、あけといてな』


「うん、わかった」


『恵のことだから、顔見て返事したいって考えてんだろ?


俺的には、電話でもいいから早く返事が欲しいとこだけどさ、急かさないで待ってるから。


でもまあ、夏休みには返事してほしいって思っちゃうけどな』


「本当にごめん、夏休みには必ず返事するから」


『わかった、じゃあおやすみ』


「おやすみ」


夏休みには、必ず返事をしないと。


自分に言い聞かせるように、つぶやいた。


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