青の瞳に映るのはーー
廉に目配せした。

その足で向かった屋上。
藤のこと、思い返していた。
確かに廉の言う通り、藤は強い女の子だけどただそれだけーー。
男に凄まれて泣かない女子はいない。
イライラしてたし、普段理性があるのに……あの場でやり過ぎた。

それに彼女は、美心の友達だ。

きっと、美心に伝わってるしーー

絶対、嫌われた。

俺は空を眺めた。
雲が急速に進む。

不意に空が隠れ、目の前が美心で覆われた。


「美心……なんでっ」


「梓が、行ってって」

藤が?

行けと?
なんで?

「青くんが、泣いてるかもって」

泣いたのは、藤だろう。

本当、バカ。

「泣いてない、泣いたのは藤で。
泣かせたのは、俺。

ごめんな、美心の大事な友達泣かせてごめん」

顔………見れなかった。

弱かったんだ。
美心に、嫌われたくなかった。

「梓が、ごめんねって。
でも、カップルショーは出てねって伝言を」

やっぱり、藤は面白い。

「ああ、藤の名誉のために出るよ」

そう。
藤を泣かせたお詫びに、カップルショーにはちゃんと出る。

そしてーーー。


「誰にもやらないからな、美心っ」

俺はそう言い美心を抱き締めた。


< 158 / 242 >

この作品をシェア

pagetop