先輩の彼女にしてもらいました
数メートル先を見覚えのある男女が、こちらに背中を向けて、手を繋いで歩いていた。

それは、俺の大好きな彼女と、その同級生であり俺の後輩の時田の2人だ。

その瞬間、心臓がギュッとなり、頭が真っ白になった。

彼女は、安心しきったように時田に笑顔をむけて話していた。

俯きながら歩いていた桜は蒼井さん達には気がついていない。

普通、ただの友達っていうだけで、手を繋いだりするだろうか。

そうか、そういうことか、やっぱり俺って本当にバカな男だよな。

今まで、どうして気がつかなかったんだろう。

自分が情けなくて仕方がなかった。

もう、ずっと前から彼女は時田に信頼をよせていた。

俺に対して、よりもずっと。

結局は、俺と彼女は近い将来、駄目になっていくんだろうか。

彼女が、わからない、好きだけど、彼女のことがよくわからない。

自分でもどうしょうもないくらい深くて暗い沼に気持ちが、沈んでいきそうになる。

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