先輩の彼女にしてもらいました
蒼井さんの中学の友人の女の子の言葉が頭をよぎる。

俺は試合前に呼び出され、こんなことを彼女から告げられた。

「時田くんは、中学の時から、すずなのことが好きだったんです。それで、すずなのことを追いかけて同じ高校に入ったんですよ。すずなだって、時田くんのことを誰よりも信頼していて。すずなは自分でも気が付いていないけど、本当は時田くんが好きなんです、私達みんなそう思ってました」

彼女達はこうも言った。

「すずなはほんとは、陸上がやりたいんです。でもあなたと付き合っているから、あなたを追いかけたいから陸上を我慢して諦めたフリをしているだけなんです」

つまり、彼女達は俺が蒼井さんの夢を妨げる存在になっていると言いたかったようだった。

蒼井さんの陸上部時代の活躍を彼女達から聞かされて、この時初めて彼女が凄いアスリートだったことを知った。
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