先輩の彼女にしてもらいました
「武田、いくぞ」
「はい、つばさ先輩」
武田は喜んで俺についてくる。その日、俺は後輩達とシュート練習をしていた。
岳がそんな俺達を一瞥して、嫌味たっぷりに声をかける。
「武田、そこのバカに伝えてくれよ、朝から何、勝手に練習メニューかえてんだよ、このタコって」
「え、えと、あの、キャプテン、それは」
武田は俺と岳に交互に視線をやりながら、オロオロしている。
近くにいるくせに、お互い直接話すのが嫌で他人を介してやりあっていた。
「武田、そこのゴリラに言ってやれよ。この練習メニューはお前が考えたもんだろって」
「昨日、練習メニューを大幅に改定するってミーティングで話したばかりだろ、聞いてなかったのかよ、この色ボケ野郎って、伝えろ、武田」
岳は腰に手をやって、俺とは視線をあわせない。