先輩の彼女にしてもらいました
「桜、蒼井さんはどこ行った?」

少し前まで体育館の端っこにいたはずの蒼井さんの姿が見当たらなくて、桜に尋ねた。

彼女は、俺たちがゲームをしている途中から姿を消していたような気がする。

もしかしたら、俺と時田を見て、いたたまれない気持ちになって、体育館を出て行ったのかもしれない。

「あー、多分、外の体育倉庫で備品の片付けをしてくれてると思う」

「なっ、あんな暑いところでか?おまえオニかよ」

体育館の外にある体育倉庫には冷暖房がなく、今くらいの時期は地獄の暑さのはずだ。

「すずなちゃんが、自分でやりたいって言ってくれたのよ、私がやらせてるわけじゃないからね」

桜はムッとするが、俺は続けて抗議した。

「あの子に、マネの仕事をさせるなよ。おとなしい子なんだから。桜に言われて断れなくてかわいそうだろ」

すると、桜の顔が般若のごとく変わりかけて、一瞬ひるみそうになる。

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