先輩の彼女にしてもらいました
射貫くような瞳、目に見える部分じゃなくてまるでその人の本質を見定めるような視線に面食らっていた。

「君があいつの新しい女か。あのバカ、また難解そうなのに手をつけて」

「は、はあ、あのぅ、難解って私がですか?」

「いや、何でもない、すまない、こっちの話」

大谷さんは、ちょっとだけ口元を緩めてくれて、それから私のほうへ手を差し出した。

「キャプテンの大谷岳(おおたに がく)です」

「あ、蒼井 すずなです」

震える手を、ゆっくりとだそうとすると大谷さんが強引に私の手をガシッと強くとり、握手してきた。

なんだか、せっかちな人のようだ。

それに挨拶で握手とか、テレビで見たことあるだけで本当にしたのは初めてだ。


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