先輩の彼女にしてもらいました
体育館を出るとすぐ横にバスケ部の部室があり、大谷さんはその少し手前くらいで、腕を胸の前で組みながら私を待っていた。

その顔が、早くしろって、言わんばかりに口元を結んでむっとしたように私を睨んでいた。

私はビクビクしながら、大谷さんの前に立ってペコリと深く頭を下げた。

謝ろう、それしかない、と思った。


「すみませんでした、すみませんでした」

「・・・・・」

「ごめんなさい、時田君の練習の邪魔してしまって。私がいけないんです」

「・・・・・」

深く頭を下げて謝るけど、なんの反応もないのでおずおずと頭を上げて大谷さんをもう一度見た。

「なるほどな」

彼は呟きながら私へジロジロと無遠慮な視線を向けている。

たいてい、私と向かい合った時の男子の視線の先は胸なんだけど、彼の視線の向け方はちょっと違っていた。

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